思い出の咲くツツジ

みなさん、ツツジと聞いて、思い出すのは何でしょうか。ピンク色の花で、甘い蜜を出すあのツツジ。小学校の通学路に咲いていて、私はよく登下校中に花の蜜を吸いながら歩いているのを思い出します。ツツジのあの蜜を友達と吸っていた方も多いのではないでしょうか。今回は、そんなツツジの魅力と名所について、紹介していきたいと思います。

ツツジの基本情報

ツツジは、ツツジ科ツツジ属の常緑、落葉の低木あるいは高木です。日本原産なので風土に馴染んでおり、大した手入れをしなくても毎年花を楽しめる花木です。草丈は50cm~300cmで、寒さにも暑さにも強い花木です。また、刈り込みをして樹高を調節することもできます。花色は紫、赤紫、ピンク、濃いピンク、赤、オレンジ、濃いオレンジ、黄色、白。開花時期は4月~5月となっています。

そしてツツジには、常緑と落葉の種類があります。

常緑落葉
ヤマツツジレンゲツツジ
オオムラサキツツジミツバツツジ
キリシマツツジゴヨウツツジ
クルメツツジオンツツジ
ヒラドツツジエゾムラサキツツジ
リュウキュウツツジニオイツツジ
モチツツジセイヨウツツジ

常緑のオオムラサキやキリシマ、ヒラドツツジは花が大きく、花色も鮮やかなため街路樹や公園などの身近な場所に多く植栽されています。落葉のミツバツツジは開花時期が短いため花木としての利用はあまりされていません。同じく落葉のレンゲツツジは、ツツジには少ないオレンジ系の花色が魅力的で、園芸品種も多く作出されています。

ツツジのそっくりさん

ツツジによく似た植物で、サツキの名前が挙がってきます。どちらもツツジ科ツツジ属に属する植物で、花の形や色が似ているためだと言われています。しかし、開花時期や葉の形、花付きなどに違いが現れます。

特徴ツツジサツキ
開花時期4月~5月5月~6月
花の大きさ6cm程度4cm程度
花の咲き方一斉に咲く徐々に咲く
葉の先端丸っこいシュッとしている

ツツジは、春に咲く代表的な花で、多くの園芸品種があります。葉や花が比較的大きく、早く咲き終わります。また、種類によって花の形や色、葉の形が異なることが特徴です。

一方サツキは、ツツジ科のなかでも遅咲きで、ツツジの開花が終わるころに咲きます。枝先に花を咲かせるため、剪定するタイミングが遅れると、次の年に花が咲かない可能性があります。また、花の数が多いのが特徴で、観賞価値が高いことが特徴です。

ツツジの蜜には毒がある

序盤に、私が小学生の頃にツツジの蜜を吸っていたと書きましたが、実はツツジには、品種によって毒をもつものもあるのです。特に注意が必要なのが『レンゲツツジ』です。日当たりの良い草原などに自生しますが、園芸品種としても庭に植えられることがあります。幹から葉、蜜にまでグラヤノトキシンという、痙攣毒を含むので牛や馬も食べません。2015年には、庭に植えてあったレンゲツツジを食べた人が食中毒になった事故があったと言います。また、海外では蜂蜜での中毒が報告されているとのことです。蜂蜜はミツバチが採取したのちに、巣の中で水分を飛ばして濃度を高めるため、分量当たりの毒性が強くなります。

しかし、全てのツツジが危険なわけではありません。身の回りに多いヒラドツツジやサツキツツジ、クルメツツジなどの毒性は、弱いかほとんどないようです。ただ、専門家は「区別が難しいため、ツツジの蜜は吸わない方がいい」と話しています。ですので、良い子はマネしないように。

ツツジの花言葉

ツツジは、色によって花言葉が変わります。ツツジ全体での花言葉は『節度』『慎み』です。春先にみずみずしい花と葉をつける様子から、若く美しい女性を象徴する花とされていたことから、この花言葉がついたと言われています。

ここからは、色別の花言葉を紹介していきたいと思います。

赤いツツジの花言葉は『燃え上がる思い』『恋の喜び』です。白は『初恋』、ピンクは『愛の喜び』です。また、紫のツツジは『美しい人』となっています。全体的に、恋や愛、女性に関するような花言葉が多い印象がありますね。そしてツツジは、結婚祝いのプレゼントにもお勧めです。全体の花言葉には『慎み』が、ピンクのツツジの花言葉には『愛の喜び』があることから、結婚を迎えた方にはふさわしい花言葉なので、プレゼントにピッタリです。

美しいツツジの名所

日本には、数々の美しいツツジの名所があります。

北海道地方では、北見市のおんねゆ温泉つつじ公園が挙げられます。ここでは、北海道天然記念物であるエゾムラサキツツジ群生が自生しており、開花時期には花のトンネルが形成されます。また、函館市の恵山つつじ公園も有名で、5月下旬から6月上旬にかけて恵山つつじまつりが開催されます。

東北地方では、日本一のツツジの名所と名高い宮城県気仙沼市にある、徳仙丈山に自生するヤマツツジとレンゲツツジの群生です。開花時期には、山全体が赤やオレンジ色に染まります。

関東地方では、茨城県笠間市にある笠間市つつじ公園があります。ここでは、笠間つつじ祭りが開催され、山全体が美しいツツジで彩られます。また、群馬県館林市のつつじが岡公園では館林つつじ祭りが開催され、約1万株のツツジが咲き誇る花まつりとなっています。そして、絵画のように美しく咲き誇る、色とりどりのツツジを楽しむことができる東京都、青梅市にある塩船観音寺のつつじまつりが挙げられます。

中部地方では、長野県岡谷市の鶴嶺公園があります。約3万株のツツジが咲き誇り、5月にはつつじ祭りが開催されます。また、愛知県豊田氏のつどいの丘も有名です。つどいの丘はキリシマツツジが圧巻の絶景で、豊田氏の花名所にも選ばれています。

近畿地方では、京都府宇治市にある三室戸寺つつじ園が有名です。ここは、紫陽花寺として知られていますが、ツツジもおすすめです。ツツジ園では関西屈指の約2万株のツツジがGW後に満開になります。紫やピンク、白の花で埋め尽くされるその光景は、圧巻の一言です。また、奈良県御所市にある葛城高原自然つつじ園では、標高960mの葛城山の山頂付近に広がる葛城高原では、5月に入ると真っ赤なツツジが咲き乱れます。山肌一面に広がる真っ赤な絨毯は「一目百万本」と表現されるほど。

中国地方では、鳥取県西伯郡大山町にある名和公園のつつじが有名です。日本海を望む絶景で、隠れた名所となっています。また、山口県下関市にある長府庭園ツツジも有名です。長府藩家老の池泉回遊式庭園と相性が良く、美しい風景が広がります。

九州地方では、長崎県佐世保市にある長串公園のつつじが美しいと言われています。4月上旬から下旬にかけて、10万本のツツジが咲き誇り、海や島々と相まって絶景が広がります。つつじ祭りも開催されます。また、熊本県熊本市にある田原坂公園がツツジの名所として挙げられます。園内には約6千本のツツジが4月~5月に花をつけ、多くの見物客が訪れます。

今回紹介した名所以外にも、各地方様々なツツジの名所がありますので、興味のある方はぜひ調べてみてください。

いかがでしたでしょうか。私にとってツツジは、幼いころを思い出す懐かしの花ですが、実はそのエピソードが危険な行為だったとは思いませんでした。ですが、私にとっていい思い出には変わらないので、良しとしましょう。今回の記事で、ツツジに興味を持った方、名所に行ってみたい方がいたら幸いです。ですが、くれぐれもツツジの蜜には気を付けましょう。

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