みなさん、カモミールというハーブをご存じでしょうか。ハーブティーであったり、雑貨であったり。園芸を嗜んでいる方で、もしかしたら元気のなくなった植物の近くにカモミールを植えている方もいらっしゃるかもしれません。そんなカモミールには、代表して二つの種類があります。それは『ジャーマンカモミール』と『ローマンカモミール』です。この二つの違いは何なのか。見分ける方法はあるのか。徹底解説していきたいと思います。
ジャーマン種とローマン種の違い
先ほど触れたように、カモミールにはローマンカモミール(ローマン種)とジャーマンカモミール(ジャーマン種)があります。一般的に、ハーブティーに使われているのはジャーマン種です。リンゴのような甘い香りが特徴で、花にしか香りがありません。マーガレットのような花をしており、こぼれ種なので毎年増えます。フランスやドイツでは『母の薬草』と言われています。
一方ローマン種は、ソフトでフルーティなフローラル系の香りが特徴で、花だけでなく葉の部分にも香りがあります。ジャーマン種に比べ香りが強いので、アロマオイルに適しています。春から秋にかけてデイジーのような小花を咲かせ、踏まれても枯れない強い花です。そのため、グランドカバーに適しています。
注意事項
ハーブティーやエッセンシャルオイルを使用するにあたって、いくつかの注意事項があります。
- 子ども、妊婦、授乳中、高齢者、敏感肌の方、重疾患をお持ちの方、動物(とくに猫)へのエッセンシャルオイルの使用は、注意が必要な場合があります。専門書や専門家、医師のアドバイスを参考にしてください。
- カモミールはキク科です。そのため、キク科のアレルギーをお持ちの方は注意が必要です。
ハーブティー
さて、カモミールと聞くとたいていの人は真っ先にカモミールティーを思い浮かべるでしょう。爽やかで、フルーティな香りが印象的なあのハーブティー。先ほど記述したように、ハーブティーとして売られているもののほとんどはジャーマンカモミールです。カモミールティーを飲むことで得られる効果が多数あります。
- 胃腸の不快感を軽減
- 睡眠の促進
- 不安やストレスの軽減
- のどの痛みや軽度の炎症を緩和
- 生理痛を和らげる
- PMSや冷え性の緩和をサポート
カモミールティーはノンカフェインですが、飲みすぎには注意が必要です。また、産地やブレンドによっても味が変わってくるので様々なカモミールティーを試してみるのも楽しいかもしれません。
アロマオイル
ジャーマンカモミールの次は、ローマンカモミールについて話していこうと思います。ジャーマン種に比べてローマン種はハーブティーにすると苦みが強いことから、アロマオイルとして使われることが一般的です。もちろんハーブティーとして飲用することも可能ですが、その場合はブレンドティーにして飲むことが多いです。
ローマンカモミールのアロマオイルの効能としては
- 殺菌作用
- 鎮静作用
- 血圧効果作用
- 神経や筋肉の痛みを緩和
- 体の緊張を緩和
- 抗アレルギー作用
- 女性特有の不調を緩和
などがあります。ジャーマン種に比べて香りも強いので、アロマオイルとしてだけでなくポプリやサシェ(香り袋)としても活用できます。
比較表
これまでジャーマン種とローマン種について記述してきましたが「結局違いが明確にわからない」という方もいらっしゃるかもしれません。実際、私もこの記事を書きながら混乱してしまうことが多々ありました。そんな方のために、今回はジャーマン種とローマン種の違いをわかりやすく表にしていきたいと思います。
特徴 | ジャーマン種 | ローマン種 |
香る部分 | 花のみ | 花/葉 |
見分け方 | 黄色の花盤がコーン状 に突出 | 黄色の花盤がペタっとしている |
形態 | 一年草 | 多年草 |
分類 | キク科/シカギク属 | キク科/カマエメルム属 |
草丈 | 30~50cm | 25cm以下 |
用途 | 主にハーブティー として飲用 | 主にアロマオイル として外用 |
香り | 薬草のようなハーバル調の香り | 甘く、リンゴ のような香り |
効能 | 抗炎症/鎮痙/創傷治癒/ /湿疹/口内炎/抗掻痒/抗菌/消化促進/疝痛/駆痛/鎮静/PMS/ 生理痛/冷え性 | 鎮静・緊張緩和/不眠/消化促進/鎮痙作用/鎮痛作用/湿疹/ 火傷/皮膚炎/血圧降下/ 更年期/生理痛/ 生理特有の不調/抗アレルギー |
一見、ローマン種の方がハーブティーに向いているように感じますが、味に苦みが強く出るためジャーマン種の方が味は好まれる傾向にあります。もちろん、ローマン種もハーブティーとして飲用することも可能ですが、初めて飲む方はジャーマンカモミールのハーブティーをお勧めします。
植物のお医者さん
最初に、園芸を嗜んでいる方で元気のない植物の近くにカモミールを植えている方がいらっしゃるかもしれないと書きましたが、ローマン種もジャーマン種も『植物のお医者さん』と呼ばれるほど、病んだ植物の近くに植えると元気を取り戻すと言われています。それは、病害虫であるアブラムシやカマキリを自身に呼び寄せたり、受粉に必要なミツバチやアブなどを呼ぶなど身を挺して他の植物を守っているからだと考えられています。
いかがでしたでしょうか。同じカモミールでもジャーマン種とローマン種では効能も用途も大きく異なり、調べれば調べるほど奥深いハーブとなっています。アロマテラピーにも使用されており、古代エジプトでは最高のハーブと謳われるほどの効果をもたらすカモミール。その歴史もとても古く、様々な情報がインターネット等に記載されています。ぜひこの機会に興味を持っていただけると幸いです。
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